シボレー コルベアの成功を受け、ポンティアックもコンパクトカーの導入を検討する。X-100と名付けられたプロジェクトが発足し、当時ポンティアック部門に在籍していたジョン・Z・デロリアンが開発を担当。彼はGM史上最年少のチーフエンジニアとなった。この車はオールズモビル F85とプラットフォームを共有するが、そこには独創的な設計が盛り込まれていた。デロリアンはこの車のハンドリング性能を重視し、トランスアクスル方式を採用。前後重量配分は理想的な50:50を達成。また、フラットに近いフロアを実現するため、湾曲したトルクチューブの中に柔軟なプロペラシャフトを通して駆動する「ロープドライブ」と呼ばれる方式を採った。サスペンションは前:ウィッシュボーン、後:スイングアクスルの四輪独立懸架。エンジンは6.4L V8の片バンクを使用した、トロフィー4と呼ばれる3.2L 直4 OHVを45度傾けて搭載。仕様によって110~166馬力を発生。より強力なオールズモビル製オールアルミ3.5L OHVも用意。ボディスタイルはセダン、クーペ、ワゴン、コンバーチブルがラインナップされた。
これが、デロリアンがテンペストに採用したロープドライブと呼ばれるトランスアクスル駆動系。フロアの凹凸を少なくするため、邪魔なプロペラシャフトをトルクチューブごと湾曲させた。
この独創的な設計は2代目テンペストには受け継がれなかったが、その代わりにGTOというスポーティなオプションパッケージの採用が成功したことで、デロリアンは自動車業界で大きな名声を得ることとなった。
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