オペル カデット 4S(1985-86 ドイツ)

オペル

Gr.B時代のWRCを後輪駆動のマンタ400で戦っていたオペルは、他メーカーと対抗するために過給機付き四輪駆動ラリーカーの開発を行う。ベースとなったのは小柄なコンパクトハッチのカデットだった。搭載エンジンはいくつかが検討され、ひとつはマンタ400に搭載されていたコスワースチューンの2.4Lで、NAのほかターボやスーパーチャージャーもテストされたがハイパワー時の信頼性に欠けた。このことから、ザクスピード製のターボエンジンもテストされた。これはGr.5 フォード カプリに搭載されていたものの改良版で排気量は1.9Lに拡大され500馬力以上を誇った。エンジン搭載位置は当時トレンドのミドシップ配置ではなく、バルクヘッド側に寄せたフロント縦置きとなっており、これにXトラック製のトランスミッションを組み合わせた。車体は中央モノコックは市販車用を使用し、前後はラリーカー向けの特別設計。カーボンケブラーも多用されて車重は850kgに抑えられていた。Gr.BもしくはGr.Sへの投入を目指していたこの車もWRCのGr.A路線への変更で戦う場を失ってしまうが、その後ラリークロスやラリーレイドで活躍することとなった。

こちらはザクスピードが手掛けたGr.5 フォード カプリ ターボ。カデット4Sには、このカプリ用のエンジンをベースとしたものも搭載されていた。しかし、オペルのラリーカーにライバルであるフォードのエンジンを搭載することに一部メディアは冷ややかな反応をとった。

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