ランチア ベータ モンテカルロ(1975-1981 イタリア)

ランチア

1975年に登場した「ランチア ベータ モンテカルロ」は、ピニンファリーナが主導した開発コード「X1/20」を起源とする小型スポーツクーペである。当初はフィアットX1/9の上級車種として構想されたが、最終的に高級志向を持つランチアのベータ群へ編入された。ピニンファリーナが生産を担当した車体は、シャープなウェッジシェイプを基調とし、固定ルーフのクーペに加えてルーフ中央を開閉できるスパイダーが設定された。

座席背後の空間に横置き配置された動力源は、アウレリオ・ランプレディ設計による1,995ccの直列4気筒DOHCである。ウェーバー製キャブレターを備え、5速マニュアル変速機を介して後輪を駆動した。120PSを発生し、四輪マクファーソンストラット独立懸架を備えたミドシップ構造により優れた回頭性を誇った。一方で初期型は前輪ロックが頻発する制動系の構造的欠陥を抱え、1978年から生産を一時中断。1980年に倍力装置を廃止する改修を経て再開され、車名からベータを外した「モンテカルロ」へと改められた。

1976年には北米市場への進出を果たしたが、商標上の理由から車名を「ランチア スコーピオン」へと改称して投入された。現地の厳格な排出ガス規制に適合させるため、排気量は1,756ccへと縮小され、81hp(約82PS)まで低下。さらに大型の5マイルバンパー装着や安全法規への適合によって車重が増加し、欧州仕様が持っていた軽快な運動性能は大きく損なわれることとなった。動力性能の不足やブレーキ問題が響き、北米での販売はわずか2年ほどで終了を余儀なくされた。

量産車として数々の苦難に直面した一方、競技の現場では華々しい実績を残した。アバルトとダラーラが手がけたグループ5規定のシルエットフォーミュラ「モンテカルロ ターボ」は、世界メーカー選手権を制覇。優れた空力特性と剛性の高いセンターモノコック構造は、後年にグループBの頂点を極めた名機「ラリー037」のキャビン骨格へと受け継がれ、モータースポーツ史において確固たる足跡を刻んだ。

こちらは北米で販売されたスコーピオン。5マイルバンパーの採用に伴いフロントマスクのイメージは大きく変わった。わずか2年という販売期間であった。

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