1993年に登場した「ローバー 600」シリーズは、ブリティッシュ・エアロスペース傘下にあった当時のローバー・グループと、日本のホンダとの緊密な提携関係から生み出された中型セダンである。欧州市場におけるDセグメント(ミドルクラス)の拡充を狙い、欧州仕様の5代目「ホンダ アコード(CC7系)」と共有プラットフォームおよび主要コンポーネントをベースに開発された。
車体骨格や窓ガラスの形状はベース車両と共有しながらも、外装デザインはローバー側のリチャード・ウールリーが主導し、英国車特有の優美な造形へと完全に仕立て直された。特徴的なクロームメッキのフロントグリルや、なだらかに傾斜した後部トランクの造形により、基本構造を共用する日本のセダンの面影を感じさせない気品あるプロポーションを実現している。
動力源の大半はホンダ製の直列4気筒SOHCおよびDOHC(1.8リッター、2.0リッター、2.3リッター)が搭載されたが、旗艦モデルの「620ti」にはローバー自社開発の2.0リッター直列4気筒DOHCターボ(Tシリーズ)を採用。200hpを発生し、最高速度230km/hに達する高い動力性能を誇った。さらに欧州市場で不可欠な2.0リッター直噴ディーゼルターボ(Lシリーズ)も自社開発で用意された。
内装には随所にウォールナットの木目パネルが配され、上級グレードには上質なレザーシートが奢られるなど、伝統的な英国の高級車らしさが巧みに表現された。ホンダの高い信頼性とローバーのブランド体現を見事に融合させた600シリーズは欧州市場で成功を収めたが、提携解消後の1999年に後継の「ローバー 75」へとバトンを託し、生産を終了した。

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