1985年に発表された「ルノー 5 GTターボ」は、第2世代ルノー 5(シュペール5)をベースモデルとして開発された高性能前輪駆動ハッチバックである。前世代の「ルノー 5 アルピーヌ ターボ」の後継として企画され、欧州市場で過熱していた小型スポーツモデルの性能競争へ投入された。マルチェロ・ガンディーニが手掛けた端正な車体を基調に、専用の大型フロントスポイラー、サイドスカート、ホイールアーチモールを装備。空力特性と冷却性能を向上させ、精悍なスタイリングを確立した。
フロントに横置き配置された動力部には、排気量1,397ccの水冷直列4気筒OHV「クレオン・フォンテ」ユニットを採用。ギャレット製T2ターボチャージャー、空冷インタークーラー、ソレックス製キャブレターを組み合わせ、初期仕様において115psのパワーとメーカー公式値である16.8 kgmの最大トルクを発生させた。専用ギア比を持つ5速マニュアル変速機を介し、前車軸へ駆動力を伝達。車両重量約850kgの軽量な車体を力強く加速させた。
1987年にはマイナーチェンジが実施され、通称「フェイズ2」へと移行した。点火制御系の刷新や各種セッティングの最適化が施され、パワーは120psへと向上。外観においてもフロントグリルやバンパーの意匠が見直されたほか、ボディ同色化されたホイールアーチモールの形状変更が行われた。さらに前輪キャスター角の変更をはじめとする足回りのジオメトリー見直しにより高速直進安定性を一段と高め、より洗練された走行フィールを獲得した。
足回りには前輪マクファーソンストラット式、後部に4本のトーションバーを用いたトレーリングアーム式サスペンションと4輪ディスクブレーキを採用した。実戦の場ではグループN規定のラリー競技で卓越した戦闘力を発揮し、世界ラリー選手権(WRC)において市販車ベースのマシンとして総合優勝を達成。1991年まで生産が継続され、小排気量OHVターボの限界に挑んだホットハッチとして1980年代の欧州小型車史に名を刻んだ。

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