いすゞ ワスプ/ベレット エキスプレス(1963-1972 日本)

いすゞ

1963年6月に登場した「いすゞ ワスプ」は、小型乗用車「ベレット」の基本設計と並行して開発された1トン積み小型トラックである。同年11月に発売されたベレットのセダンに数か月先行して市場へ投入された。車体前部のプレスやフロントフェンダー、ドアパネルにはベレットと共通の面影を残す造形が採用され、乗用車感覚の端正な外観を持つピックアップとして企画された。

モノコック構造と後輪独立懸架を採用したベレットセダンに対し、ワスプは過酷な商用積載に耐えうる頑丈なラダーフレーム構造を採用。前輪にはベレット同様にトーションバースプリングを用いたダブルウィッシュボーン式独立懸架を導入し、当時のトラックとしては優れた乗り心地と操縦安定性を確保した。後輪には積載力を支える半楕円積層リーフスプリングを配置。1964年には、この頑丈なフレームシャシーを活用したライトバン「ベレット エキスプレス」が登場した。乗用車の名を冠しつつも、骨格や足回りは実質的にワスプの構造を受け継いだ商用バンであった。

動力部には、排気量1,325ccの直列4気筒OHVガソリン「G130型」(58ps、9.5 kgm)を搭載。のちに排気量1,471ccの「G150型」や排気量1,584ccの「G161型」(75ps/5,200rpm、12.5 kgm/2,600rpm)へと発展した。さらに小型ディーゼル技術に長けたいすゞらしく、排気量1,764ccの4気筒ディーゼル「C180型」(50ps/4,000rpm、11.1 kgm/2,000rpm)も設定。変速機には4速マニュアルを組み合わせ、後輪を駆動した。

フロント周りは当初の丸型2灯から後年の丸型4灯へと意匠変更を受けながら、堅牢な実用車として高い信頼を獲得。1972年に後継車種「ファスター」へバトンを渡すまで約9年間にわたり製造された。乗用車由来の快適性とトラック本来の強靭さを両立させた小型ピックアップとして、同社商用車史の基盤を築いた。

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