2002年に欧州市場へ投入された「フォード フォーカス RS」は、世界ラリー選手権(WRC)参戦車のイメージを色濃く反映して開発された限定生産の高性能ハッチバックである。「エスコート RSコスワース」以来途絶えていた伝統の「RS(ラリー・スポーツ)」の称号を復活させ、ドイツのザールルイ工場にて4,501台が個別製造番号付きで製造された。車体色は競技車両を象徴する専用ブルー単色に限定。専用設計のワイドフェンダーや大型開口部を持つフロントバンパーにより、迫力ある外観が構築された。
動力部には、排気量1,988ccの直列4気筒DOHCにギャレット製ターボチャージャーと水冷インタークーラーを組み合わせた「デュラテックRS」を搭載し、(215ps/5,500rpm、31.6 kgm/3,500rpm)を発揮。幅広い回転域でフラットなトルク特性を確保し、実用域の扱いやすさと高速域での加速性能を両立させた。変速機にはAPレーシング製強化クラッチ付き5速マニュアルを結合。駆動方式には前輪駆動を採用し、クワイフ製ヘリカル差動制限装置を標準装備して駆動力を路面へ効率的に伝達した。
シャシーは専用設計によりトレッドを拡大し、ザックス製ダンパーや強化スプリング、高剛性スタビライザーを配備。前輪側にはブレンボ製4ピストンキャリパーと324mm大径ベンチレーテッドディスクを組み合わせ、強固な制動力を確保した。足元にはOZレーシング製18インチアルミホイールを装着。室内にはスパルコ製バケットシートやアルミ製ペダル、プッシュ式始動ボタンを備え、競技車両を彷彿とさせる空間を整えた。
0-100km/h加速6.7秒、最高速度232km/hという卓越した性能を誇り、前輪駆動ホットハッチの運動限界を大きく引き上げた。強力なトルクステアを制御しながら俊敏に旋回する走りはエンスージアストを魅了。高度なラリー直系技術と専用部品の多用により製造コストが採算を度外視する水準に達した逸話を含め、欧州フォードにおける屈指のピュアスポーツモデルとして語り継がれている。

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