1984年に登場した「フォード トランジット スーパーバン2」は、同社の商用バン「トランジット」の販促を目的に製作された超高性能プロモーションマシンである。1971年に製作された前作に続く第2弾として企画され、イギリスのドニントン・パークで開催されたトラックレースイベントで初公開。商用バンの箱型シルエットを保ちながら、純粋なレーシングカーの骨格と動力部を融合させた異色の存在として大きな反響を呼んだ。
車体構造には、耐久レースのグループCカテゴリー向けに開発された「フォード C100」のアルミ製モノコックシャシーを流用。動力部には、フォーミュラ1用DFVの流れを汲む排気量3.9Lのコスワース製水冷V型8気筒自然吸気ユニット「DFL」をドライバーの後方に縦置きするミドシップ配置を採用した。約590hpの強大なパワーを発生させ、ヒューランド製5速マニュアル変速機を介して後輪を駆動した。
外装は当時の第2世代トランジット後期型を忠実に模した軽量なグラスファイバー(FRP)製カウルで覆われた。実用バンの外観を再現しつつ、超高速走行に耐えうるよう車高は大幅に引き下げられ、フロントの大型エアダムやサイドスカート、冷却用大型エアインテークが整えられた。後部には巨大なアンダーディフューザーや空力スポイラーが組み込まれ、高速域における車体安定性が徹底して追求された。
シルバーストン・サーキットでのテスト走行では最高速度174mph(約280km/h)を記録し、並外れた速さを誇る商用バンとして各地のサーキットやイベントで観客を沸かせた。数年間にわたり強烈なプロモーション効果を発揮したのち、1994年には外観を第3世代トランジット風へと改修し、F1用コスワースHBユニットを搭載した「スーパーバン3」へと発展的改装を遂げた。

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