2020年9月に発売された「GRヤリス RS」は、WRC(世界ラリー選手権)への参戦を見据えて開発された専用3ドアボディに、扱いやすいパワートレーンを組み合わせた前輪駆動のエントリースポーツである。超高性能な4WDターボモデルと同一の軽量・高剛性な車体を共有しながら、日常域でも気軽にスポーツ走行を愉しめる独自のキャラクターを与えられた。
車体骨格には前側GA-B、後側GA-Cを統合した専用プラットフォームを採用。CFRP製のルーフやアルミ製の外板パネルを惜しみなく用いることで、4WD仕様より約150kg軽い1,130kgの車両重量を実現した。足回りも前輪ストラット、後輪ダブルウィッシュボーンを踏襲し、強靭な剛性と軽快な回頭性を両立している。
パワートレーンには1.5リッター直列3気筒DOHC自然吸気の「M15A-FKS型」(最高出力120PS/最大トルク14.8kgm)を搭載。発進用ギヤを備えた「Direct Shift-CVT」が組み合わされ、10速シーケンシャルシフトにも対応した。過激な出力に頼らず、電動パーキングブレーキの採用やWLTCモード燃費18.2km/Lという経済性により、街乗りでの実用性を高めている。
モータースポーツ直系の骨格をAT限定免許で享受できる希少な実用スポーツとして幅広い層の需要を開拓した。2024年4月の大幅改良に伴いラインアップから姿を消し、生産期間は実質約3年半に留まったものの、本格的な専用シャシーと素直なユニットが融合した異色の存在として確かな足跡を残した。

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