2003年に登場した「クライスラー クロスファイア」は、ダイムラークライスラー統合の象徴として企画された2シータースポーツクーペである。エリック・ストッダードが手掛けた2001年のコンセプトカーを源流とし、大胆なアールデコ調のデザインを採用。ドイツの名門カルマン社へ生産が委託され、クーペに加えて2004年にはロードスターもラインナップへ追加された。
最大の技術的特徴は、主要コンポーネントの多くを初代メルセデスベンツ SLKから流用している点にある。シャシー骨格をはじめ、フロントのダブルウィッシュボーン、リアのマルチリンク式サスペンションを踏襲。ボートの船尾を思わせる独創的なファストバック形状のボディには、時速約100kmで自動展開する電動格納式リアスポイラーが備えられた。
パワートレーンにもメルセデス製が用いられ、3.2リッターV6「M112型」エンジン(218PS)に6速MTまたは5速ATを組み合わせた。のちにスーパーチャージャーを備えた高性能版「SRT-6」も追加されている。車名はボディサイドを前後に交差して走る鋭利なキャラクターラインに由来し、足元にはフロント18インチ、リア19インチの前後異径大径ホイールが与えられた。
アメリカンな意匠とドイツ仕立ての走行性能を融合させた同モデルは、デビュー当初こそ注目を集めたものの、ベースとなった旧型SLK譲りの設計の古さや室内空間の狭さから販売は徐々に低迷した。ダイムラークライスラーの資本提携解消の流れも重なり、約7万6000台を生産したのち2007年末に一代限りで生産を終了した。

2004年に追加された「クロスファイア ロードスター」は、クーペの個性を引き継いだ2シーターのオープントップモデルである。ベースのメルセデスベンツSLKが電動格納式ハードトップを採用していたのに対し、同モデルはカルマン社が手掛けるファブリック製ソフトトップを採用。手動ラッチ解除後に電動油圧でトノカバー下へ約22秒で格納される構造とし、シート後方のフェアリング造形とともに優雅なオープンシルエットを創出した。

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