ユーノス コスモ(1990-1996 日本)

マツダ

1990年にマツダの高級車ブランド「ユーノス」の旗艦として登場したユーノス コスモは、流麗なプロポーションと先進技術を凝縮したパーソナル・ラグジュアリークーペである。伸びやかなロングノーズ・ショートデッキの優美なフォルムとワイド&ローな構えを持ち、バブル経済期におけるマツダの技術的頂点を象徴するモデルとして開発された。

最大の技術的ハイライトは、量産市販車として世界初かつ唯一無二の3ローター「20B-REW型」シーケンシャルツインターボの搭載である。最高出力280PS、最大トルク41.0kgmを発生し、V12気筒に匹敵する無振動かつ滑らかな回転フィールを実現した。強烈な動力性能と引き換えに規格外の燃料消費を伴ったため、航続距離を確保すべく国産乗用車として異例となる85Lの大容量燃料タンクが備えられた。なお2ローター仕様の「13B-REW型」(230PS)も設定された。

装備面では世界初となるGPS式カーナビ「CCS」を実用化。オーストリアのシュミットフェルトバッハ製本革や、イタリアのシンプレス社が加工を手掛けたフランス産エルム材の天然ウッドパネルを奢り、包み込むようなラウンド形状の豪奢な空間を創出した。シャシーはフロントにダブルウィッシュボーン式、リアにマルチリンク式サスペンションを採用。リア側は1輪あたり2本のショックアブソーバーを並列配置して減衰力を分担するツインダンパー構造を採り、極上の乗り心地と高速安定性を両立させた。

トランスミッションは電子制御4速ATのみとし、贅を尽くした本格グランドツアラーとして仕立てられた。量産乗用車の歴史において唯一無二となった3ローターエンジンの採用をはじめ、妥協なき過剰品質を凝縮したユーノス コスモは、1990年代初頭の日本の自動車史において特異な足跡を残した。

タイトルとURLをコピーしました