1995年、マツダのオーストラリア法人は、バサースト12時間耐久レース等のプロダクションGT選手権参戦に向けたホモロゲーションモデルとして「RX-7 SP」を開発した。ポルシェ968 CSやBMW M3といった従来のライバルに加え、同シーズンに向けてポルシェが911カレラRS CSの投入を表明したことへの対抗策として企画され、モータースポーツ部門を率いたアラン・ホースリーらの主導により特別に仕立てられた。
車体には軽量なカーボンファイバーやケブラーが投入された。専用フロントノーズ、大型リアスポイラー、エアベント付きアルミボンネットに加え、室内にはケブラーシェルのレカロ製シートを装着。吸排気系はカーボン製ツインエアインテークや大型インタークーラー、手動式ウォータースプレー、75mm径ステンレスエキゾーストで強化され、さらに耐久レースを見据えた110リットル大容量のカーボンケブラー製燃料タンクが公道仕様を含む全車に採用された。
初期に製造された25台のうち、15台は公道仕様(ロードカー)、10台はサーキット向け仕様として振り分けられた。ロードカー仕様は標準ツインターボにより最高出力278馬力/最大トルク36.4kgm(オーストラリア標準仕様の240馬力/30.0kgmから向上)を発揮しつつ、エアコンやCDオーディオ等の快適装備が維持された。一方、サーキット向け10台には大型ターボチャージャーが組み込まれ、さらなる高出力化が図られた。
シャシー面では最終減速比が標準の4.1から4.3へとローギアード化され、25mm大径化されたブレーキローターや17インチBBSホイールを装着。ホモロゲーション規定を満たすため当初生産された25台は即完売となり、さらに1995年のバサースト12時間耐久レースで見事な1-2フィニッシュによる勝利(大会4連覇)を収めたことで市場の熱狂は頂点に達した。この圧倒的な活躍と熱烈な需要に応えるため、マツダ・オーストラリアは急遽10台(エアロパーツ等は当初の仕様と一部異なる)の追加生産を決定し、最終的な生産台数は計35台となった。
モータースポーツ直系の卓越した運動性能と公道での快適性・扱いやすさを高次元で両立させたRX-7 SPは、オーストラリア限定という極めて高い希少性も相まって、今なおロータリースポーツの歴史に燦然と輝く伝説のホモロゲーションモデルとして語り継がれている。

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