1970年に登場した「モントリオール」は、1967年のモントリオール万博に出展されたコンセプトカーを発端とする高性能GTである。出展時は特定の車名を持たなかったが、来場者やメディアが開催地にちなんで呼んだ愛称がそのまま正式名として採用された。スタイリングはベルトーネのマルチェロ・ガンディーニが手掛け、点灯時に下部へ沈む可動式ヘッドライトルーバーや、ミドシップ車を想起させるBピラー後方のスリットなど、前衛的な造形が与えられた。
心臓部には、レーシングカー「ティーポ33」直系の2.6リッター90度V型8気筒DOHC(2593cc、200ps)を搭載。ドライサンプ潤滑やSPICA製機械式燃料噴射、ZF製5速MTを採用した。プロトタイプの4気筒から背の高いV8へ換装したことで生じたクリアランス不足に対し、ガンディーニは無骨なバルジを嫌い、ダミーのNACAダクトを彫り込むことでエンジンの突出を巧みに隠すデザイン的解決を図った。
シャシーはジュリア系のフロアパンをベースに補強を施し、前輪にダブルウィッシュボーン、後輪にトレーリングアームとT型リアクションアームで位置決めを行うリジッドアクスルを配置。リアサスペンションの形式こそ保守的だったものの、前後ベンチレーテッドディスクブレーキやリミテッドスリップデフ(LSD)を備え、高速域における快適性と操縦性を確保した。
1971年から販売が始まったが、主市場と見込まれた北米の排ガス規制をクリアできず正規導入を断念。さらに高価格や1970年代の石油危機が重なり、1977年までの総生産台数は3917台にとどまった。レーシングカー譲りのV8ユニットとガンディーニの工芸的知見が融合した、アルファロメオ史を彩るプレステージGTである。

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