2003年に登場した「マツダ ロードスター クーペ」は、2代目(NB型)のオープンボディをベースに開発された特装モデルである。企画・製造はマツダE&Tが手掛け、量産ラインから抜き出したホワイトボディの後部を切断・加工。専用冶具上で熟練工がスチール製ルーフやクオーターパネルを手作業で溶接結合する手法により、型式「NB6C改/NB8C改」として生み出された。
クローズドボディ化により、車体剛性はベース車から飛躍的に向上した。ルーフ、クオーターパネル、トランクリッドは新規プレスのスチール製としながら、各部鋼板の板厚最適化を徹底したことで重量増加を約10kgに抑制。ロードスター特有の軽快な操縦性を損なうことなく、クーペならではの強固なボディと高い静粛性を両立させている。
ラインナップは、通常受注の1.6リッター(125ps/5速MT)と1.8リッター「タイプS」(160ps/6速MT)に加え、2種の限定車を設定。丸目4灯マスクを備える「タイプA」(160ps/限定200台)と、優雅な造形に唯一の4速ATを組み合わせた「タイプE」(154ps/限定150台)が用意され、限定車の専用外装パーツにはFRPが用いられた。
手作業に頼る少量生産であったが、2004年12月に発生したマツダ宇品第1工場塗装ライン火災の影響を受け、計画半ばで製造打ち切りを余儀なくされた。実際の総生産台数はわずか179台にとどまり、特装工芸的な成り立ちと圧倒的な希少性から、現在も熱狂的な愛好家の間で伝説的な名車として語り継がれている。

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