1983年に欧州フォードから投入された「フォード シエラ XR4i」は、前衛的な空力意匠を纏った快速グランドツアラーである。ウーヴェ・バーセン率いるデザイン陣が手がけた車体は、専用の3ドアハッチバックを採用。サイドウィンドウを前後に分割するピラーや、後部に装着された上下2段の「バイプレーン・スポイラー」など、従来の保守的な造形を一新する尖鋭な外観を誇った。
動力源には、2,792ccの「ケルン」60度V型6気筒OHVを搭載。ボッシュ製Kジェトロニック機械式燃料噴射を備え、5速マニュアル変速機を介して後輪を駆動した。150PSを発生し、強化された前輪マクファーソンストラット、後輪セミトレーリングアームの4輪独立懸架により、アウトバーンをはじめとする欧州の高速巡航において優れた操縦安定性を発揮した。
外観には車体下部を覆う大型サイドクラディングや専用フォグランプ一体型バンパーが装着され、通常型と明確に区別された。運転席周りにはドライバーを包む非対称形状のインパネやスポーツシートが配され、高速移動を快適にこなす長距離ツアラーとしての性格が追求された。
モータースポーツではグループA規定のツーリングカー選手権に参戦したものの、大排気量勢の前に苦戦を強いられた。生産はわずか2年ほどで終了し、4輪駆動の「XR4x4」へ発展を遂げたが、XR4iの空力ボディは同時期に進められていた名機「シエラ RSコスワース」開発の重要なベースとなった。

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