シュコダ 110R(1970-1980 チェコスロバキア)

シュコダ

1970年にチェコスロバキアの国営メーカーAZNP(シュコダ)が発表した「シュコダ 110R」は、クヴァシニ工場で生産された2ドアクーペである。大衆向け4ドアセダン「100/110」シリーズをベース車両としながら、美しいファストバック形状の車体を与えられた。実用性と均一性が重視された当時の東欧社会主義体制下において、個人の嗜好性を色濃く反映した数少ないスペシャリティカーとして企画され、西欧市場へも積極的に輸出された。

動力部には、排気量1,107ccの水冷直列4気筒OHVユニットを車体後端に縦置き配置。アルミダイキャスト製クランクケースを備え、ツインチョーク式のジコフ製ダウンドラフトキャブレターや専用オイルクーラーの採用、圧縮比9.5:1への引き上げにより52psのパワーを発生させた。駆動系には4速マニュアル変速機を組み合わせ、後輪を駆動するRRレイアウトを踏襲。乾燥重量約880kgの軽量な車体を生かし、最高速度145km/hを達成した。

車体は緩やかなルーフラインを描く2+2のレイアウトを採用し、サッシュレス構造のドアや傾斜した前後ウインドウによって軽快なスタイリングを構成。外観の識別点となる前照灯は、1970年の登場当初は2灯式であったが、1973年モデルの改良により中央寄りに補助灯を配した精悍な4灯式マスクへと改められた。室内はスポーティに仕立てられ、木目調インパネにタコメーターや油圧計を含む5連アナログメーターを整然と配置した。

モータースポーツへの展開も積極的で、本型をベース車両に開発された競技専用モデル「130 RS」は、ヨーロッパツーリングカー選手権(ETC)やモンテカルロ・ラリーの1.3L以下クラスで強豪を破る目覚ましい戦績を残した。1980年に後継のガルデへバトンを渡すまでに5万6,902台が生産され、鉄のカーテンの向こう側で独自の進化を遂げたスポーツクーペの代表格として記憶されている。

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