ランボルギーニ エスパーダ(1968-1978 イタリア)

ランボルギーニ

1968年のジュネーブ・モーターショーで発表された「ランボルギーニ エスパーダ」は、大人4人が快適に長距離を移動できる本格的な4シーターGTとして開発されたクーペである。スタイリングはカロッツェリア・ベルトーネのマルチェロ・ガンディーニが手掛け、前年に公開されたショーカー「マルツァル」や「ジャガー ピラーナ」の造形要素を継承。全高わずか約1,185mmという極めて低いファストバックでありながら、巧みな空間設計によって大人4名分の独立したシートとラゲッジスペースを確保した。

動力部には、排気量3,929ccの水冷60度V型12気筒DOHCを採用。ウェーバー製のツインチョーク・サイドドラフトキャブレターを6基備え、初期型で325ps、のちの改良型では350psのパワーを発生させた。組み合わせる変速機は自社製の5速マニュアルを標準とし、後期型では北米市場の要望に応えてクライスラー製3速トルクフライト・オートマチックも設定。滑らかな回転フィールと大排気量マルチシリンダー特有の力強いトルクで後輪を駆動した。

車体構造には鋼板プレスと角形鋼管を組み合わせたセミモノコックを採用し、足回りには前後ダブルウィッシュボーン式の独立懸架とガーリング製4輪ディスクブレーキを装備。後方視界を改善するため、テールエンドに垂直のガラスパネルを組み込んだ二段式ウィンドウなど独自の工夫が施された。室内には高級コノリーレザーが惜しみなく張られ、エアコンやパワーウインドウなど長距離移動を支える充実した快適装備が備えられた。

1968年から1978年にかけてシリーズ1からシリーズ3まで進化を重ね、10年間の総製造台数は1,200台を超えた。当時経営難に直面していたランボルギーニにおいて最大の量産台数を記録し、ブランドの屋台骨を支え続けた。スーパーカーに匹敵する運動性能と実用的な4シーターパッケージを両立させたグランドツーリングカーとして、同社の歴史に確固たる足跡を残している。

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