2008年3月、スズキのインド法人であるマルチ スズキ インディアが市場に投入した3ボックスセダンが「マルチ スズキ スイフト ディザイア」である。長年にわたり同国の小型セダン需要を支えた「エスティーム」の後継モデルとして開発された。世界戦略車として高い評価を得ていたハッチバック「スイフト」の車台をベースに活用し、高い剛性と近代的な基本設計を受け継ぎつつ、ファミリー層やビジネス層に向けたノッチバックセダンとして仕立てられた。
車体はスイフトのホイールベース2,390mmを維持しながら、後部に独立したトランクルームを一体化させることで全長を4,160mmまで延長した。全幅1,690mm、全高1,530mmの車体寸法を持ち、車体後部には440Lの荷室容量を確保。セダンに高いステータスと積載性を求めるインド市場の嗜好に合わせ、後席の居住性向上と十分な実用性を両立したパッケージングが構築された。
動力部には、排気量1,298ccの直列4気筒SOHCガソリン「G13BB」(87ps、11.5 kgm)と、フィアットからライセンス供給を受けた排気量1,248ccの直列4気筒DOHCコモンレール直噴ターボディーゼル「DDiS」(75ps、19.4 kgm)の2本立てを設定。いずれも5速マニュアル変速機を介して前輪を駆動した。サスペンションは前輪にマクファーソンストラット式、後輪にトーションビーム式を採用し、インド国内の多様な路面環境に応じた堅牢な足回り設計が施された。
経済性に優れるディーゼル仕様を中心に旺盛な需要を獲得し、タクシー用途から自家用まで幅広い層に普及してセダン市場の主力を担った。2010年には排ガス基準の強化に伴い、ガソリン仕様が排気量1,197ccの直列4気筒DOHC「K12M」へと換装された。後の世代交代において全長4m未満の減税枠に合わせた設計へと舵を切る前段階として、伸びやかなトランク形状を持つ本モデルは2012年2月まで生産された。

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