1987年の第27回東京モーターショーで日産自動車が出展した「日産 ジュード」は、悪路走破性とスポーツクーペの機動力を統合した全地形型コンパクトスポーツの試作車である。従来のオフロードモデルが持つ無骨な実用性とは一線を画し、最低地上高を高めたスポーティな2ドアクーペスタイルを提示。都市部での日常走行から未舗装路でのアクティブな走行までを軽快にこなす、新しいレジャービークル像を開拓する目的で開発された。
車体は全長3,990mm、全幅1,690mm、全高1,580mmの小型な寸法にまとめられ、乗車定員は2名とされた。機能面では、頭上を開放する電動スライド式のルーフ機構を備え、ルーフパネル全体が車体後部の上方へと後退する設計を採用。フロントバンパー内には電動ウインチを一体化して内蔵し、車体後端にはカバー付きスペアタイヤを電動スイングアームで保持する機構を設けるなど、アウトドア用途を意識した先進的な装備が凝縮された。
動力部には、排気量1,998ccのV型6気筒DOHCセラミックターボ「VG20DET」型ユニット(210ps、27.0 kgm)を搭載。5速マニュアル変速機と組み合わされ、ビスカスカップリング式フルタイム四輪駆動システムを介して4輪へ駆動力を伝達した。前後輪の差動を自動制限する機械式ビスカス機構と、255/55R16サイズの大径偏平オールテレーンタイヤの組み合わせにより、滑りやすい路面や砂地においても確実なトラクション性能を確保した。
量産化を前提とした市販計画へは移行せず、モーターショーでの技術展示にとどまった。しかし、乗用車系ユニットを基盤に高めの最低地上高とスポーティな意匠を融合させたパッケージングは、1990年代以降に世界的潮流となるクロスオーバーSUVの概念を先取りした試みであり、1980年代後半における日産の創造的な商品提案を示す1台として記録されている。

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