1973年秋に1974年モデルとして登場した「マスタングII」は、年々肥大化を続けていた先代から一転、大幅な小型・軽量化によって原点回帰を図ったモデルである。当時の社長リー・アイアコッカの指揮のもと、小型車「ピント」の基本構造を活用して開発。全長を約480mm、全幅を約100mm縮小し、車重も大幅に削減して機動性に優れた車体へと生まれ変わった。
車体は2ドアノッチバックと3ドアハッチバックの2本立てで展開。高級志向の「ギヤ」やスポーティな「マッハ1」を設定した。前輪にはピント譲りのサブフレーム支持による独立懸架ダブルウィッシュボーン、後輪にはリーフリジッドを採用。操縦性と静粛性を両立させたこの前輪足回り設計は、後にカスタムカー界で定番の移植パーツとして重宝されるほどの完成度を誇った。
動力源には当初直列4気筒(約88 hp)とV型6気筒(約105 hp)のみが設定されたが、1975年モデルで5.0リッターV8(約122 hp)が復活。後期にはレーシングストライプや大型スポイラーで武装した「コブラII」、さらに最終1978年モデルではボンネットに巨大な蛇のグラフィックを描きV8のみを設定した「キングコブラ」を追加した。排出ガス規制下で絶対的な速さは控えめだったものの、迫力ある意匠で往年のマッスルカーの熱気を演出し、若者層の支持を獲得した。
発売直後に第1次オイルショックが発生したことで、低燃費で手頃なサイズ設定が時流を捉え、初年度だけで約38万5,000台を販売する大ヒットを記録。後年はパワー不足から旧来のファンに批判される場面もあったが、コブラ系をはじめとする多彩な展開で激動の時代に110万台以上を世に送り出し、伝統ある車名を後世へと繋ぎ止めた救世主として歴史的に再評価されている。

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