フォード マスタング SVT コブラ(1993 アメリカ)

フォード

第3世代「フォックス・マスタング」のモデルライフ最後を飾る高性能モデルとして、1993年に投入されたのが「フォード マスタング SVT コブラ」である。単なる「コブラ」ではなく、フォードが新設した高性能車開発部門「SVT(スペシャル・ビークル・チーム)」が手がけた記念すべき最初の市販車であった。1979年から長期にわたり生産されたフォックスボディの最終進化形として、高い運動性能と洗練された操縦性の両立が図られた。

動力源には、実績ある4,942ccのV型8気筒OHV「ウィンザー」ユニットをベースとした専用仕様を採用。ここには大径バルブや専用設計のインテークマニホールドに加え、「GT40」の名を冠する鋳鉄シリンダーヘッドが組み込まれた。往年のレーシングカーGT40相当の性能を達成した吸排気系の採用により、235hpを発生した。ボルグワーナー製5速マニュアル変速機を介して後輪を駆動し、力強い加速性能を発揮した。

足回りには、標準仕様のマスタングGTが後輪ドラム式であったのに対し、4輪ベンチレーテッド・ディスクブレーキを標準装備。スプリングレートの見直しや専用ダンパー、専用スタビライザーの採用により、従来の直線重視から旋回性能を意識した操舵応答性を実現した。外観には専用グリルインサートや専用17インチホイール、専用スポイラーが与えられた。

また、競技参戦を想定してエアコンや後席などの快適装備を削ぎ落とした限定生産仕様「コブラR」も設定され、わずか107台が供給された。長年親しまれたフォックス・ボディの最後を有終の美で飾り、その後のマスタングにおけるSVTブランドの確固たる礎を築いた名作として記憶されている。

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