2000年11月に発売された「トヨタ オリジン」は、同社の国内自動車生産累計1億台達成を記念して企画された限定生産の高級セダンである。1955年に登場したクラウンの原点をモチーフとし、特徴的な格子状フロントグリルや観音開き構造のドア、車体後方へ回り込む曲面クォーターガラスなど、往年の意匠を現代的な造形へと昇華させた。限定数は約1,000台と設定され、クラシカルな外観と先進の走行機能を併せ持つ象徴的なモデルとして世に送り出された。
車体構造の基礎には、高剛性を誇るプログレのFRプラットフォームを採用。2,780mmのホイールベースを継承しつつ、外板の多くはセンチュリーの生産を担当する熟練工の手作業による打ち出し成形や入念な組み立てが施された。前ヒンジの前席ドアと後ヒンジの後席ドアが中央で合致する観音開き構造は、極めて高い組み立て精度が要求されるため手作業によるチリ合わせが徹底され、塗装面にも幾重もの研ぎ出し工程が施された。
動力部には、3.0リッター直列6気筒DOHCの「2JZ-GE」ユニットを縦置きに搭載。連続可変バルブタイミング機構(VVT-i)を備え、215psの動力性能を滑らかに発揮した。電子制御4速オートマチックを介して後輪を駆動し、足回りにはプログレ譲りの前後ダブルウィッシュボーン式サスペンションを採用。しなやかな減衰特性と優れた直進安定性を保ち、高水準な静粛性とともに重厚な走行感覚を実現した。
室内には、手縫いで仕上げられた上質な本革シートや、天然木を用いた贅沢な加飾パネルが奢られ、日本の伝統的な工芸美を思わせる空間が構築された。車両価格は700万円と当時の同級セダンを大きく上回る設定であったが、自動車製造の節目を飾る記念碑的存在として熱心な支持を獲得。量産ラインでは不可能な手作業による高い工作精度を注ぎ込み、伝統と技術の継承を体現した希少な一台となった。

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