プジョー 205 GTI/CTI(1984-1994 フランス)

プジョー

1984年に発表された「プジョー 205 GTI」は、経営危機に直面していた同社の命運を託されて大ヒットを記録した小型車「205」をベースモデルとして開発された高性能前輪駆動ハッチバックである。スタイリングはピニンファリーナ案ではなく、ジェラール・ウェルテル率いるプジョー社内デザインチームの手による端正な3ドアボディを基調とした。赤のアクセントラインを配したサイドプロテクションモールや専用フェンダーアーチモール、専用バンパーを装着。コンパクトなハッチバックの実用性を損なうことなく、引き締まったスポーティな外観を確立した。

車体前部にエンジン横置きで配置された動力部には、新開発の水冷直列4気筒SOHC「XU」型ユニットを採用。1984年の登場初期には排気量1,580ccの「XU5J」にボッシュ製Lジェトロニック燃料噴射を組み合わせ、105psのパワーとメーカー公式数値である13.7 kgmの最大トルクを発生させた。1986年末には排気量を拡大した1,905ccの「XU9JA」ユニット(130ps、16.8 kgm)搭載モデルがラインアップへ加わり、高速域における動力性能が大幅に強化された。いずれもクロスレシオの5速マニュアル変速機と組み合わされ、車両重量約850kgから880kg前後の軽量な車体と相まってレスポンスの鋭い加速性能を実現した。

派生モデルとして特筆されるのが、1986年にラインアップへ追加されたオープンモデル「プジョー 205 CTI」である。車体のオープン化に伴う基本設計およびボディの組み立て製造はイタリアのカロッツェリア・ピニンファリーナが担当した。オープンボディ特有のねじり剛性低下を防ぐため、Bピラー部分にロールバーを兼ねた堅牢なT型ロールフープを配置。動力部にはGTI譲りの1.6Lユニット(導入当初は115ps仕様)が積まれ、開放的なオープンエアクルージングとホットハッチの俊敏な運動性能を巧みに融合させた。日常域での実用性と洗練されたスタイルを併せ持つ小型カブリオレとして、欧州のみならず日本市場でも独自の支持層を形成した。

足回りには前輪マクファーソンストラット式、後部に横置きトーションバーを用いたトレーリングアーム式独立懸架サスペンションを採用。ロール剛性を高めたセッティングにより、意のままにノーズをイン側へと向ける極めて俊敏な回頭性を誇った。1.9L仕様では後部ブレーキにディスクブレーキが採用され、制動性能の強化が図られた。さらに、競技専用のミドシップ4WDマシン「205 ターボ16」が世界ラリー選手権(WRC)を席巻した実績も後押しとなり、市販型GTIおよびCTIの評価は決定的なものとなった。ルノー 5 GTターボやフォルクスワーゲン ゴルフ GTIとしのぎを削り、1994年の生産終了まで1980年代を象徴する俊足ハッチバックとして確固たる地位を築いた。

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