スバル ff-1 1300Gバン 4WD(1971-1972 日本)

スバル

1971年に富士重工業(現SUBARU)が開発した「スバル ff-1 1300Gバン 4WD」は、世界初の量産4WD乗用車の礎となったプロトタイプである。豪雪地帯での送電線保守を担う東北電力の要請を機に、地元ディーラーの宮城スバルが試作した改造車を経てメーカー主導で本格開発。同年秋の第18回東京モーターショーに出品されたのち、実証用として東北電力や長野県の自治体・農協向けに計8台が特別に製作された。

開発を大幅に加速させたのが、当時業務提携関係にあった日産自動車の「ブルーバード(510型)」からの駆動系流用である。宮城スバルの試作段階から、リアデフやドライブシャフトに独立懸架用の510型ブルーバードのパーツが流用された。ブルーバードの最終減速比がスバルのフロント側減速比と偶然にも極めて近い数値であったため、複雑な変速機構を介さずにトランスアクスル後端からプロペラシャフトを伸ばしてリアデフへ直結する合理的な4WD機構が成立した。

シャシーには前輪ダブルウィッシュボーン、後輪セミトレーリングアームの4輪独立懸架を踏襲し、最低地上高を標準車より約20mm引き上げて走破性を向上。機関系には1.3リッター水平対向4気筒「EA62型」エンジンを搭載し、最高出力80PS、最大トルク10.1kgmを発揮した。左右対称の低重心レイアウトと4速MTの組み合わせは、寒冷時の快適性や乗り心地に劣る当時のジープ型四輪駆動車に代わる実用車として現場から絶賛された。

実戦配備された車両群は過酷な積雪環境で圧倒的な信頼性と走破力を実証し、得られた貴重な知見は1972年登場の世界初量産4WD乗用車「レオーネ エステートバン 4WD」へと直結した。一般市販こそされなかったものの、提携関係を巧みに活かした設計と独創の水平対向レイアウトの融合は、今日に続くスバルのシンメトリカルAWDの原点として日本自動車史に確固たる足跡を残した。

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