トヨタ MR2(1984-1989 日本)

トヨタ

1984年6月に登場した「トヨタ MR2(W10系)」は、手頃な価格と優れた運動性能の両立を目指して開発された2シータースポーツクーペである。開発にあたっては、フィアット X1/9が小型大衆車の前輪駆動ユニットを後方へ移設した設計手法に着目。ジアコーサ式前輪駆動を採用した5代目カローラのエンジンやトランスアクスルを含む動力ユニットを、運転席後方の車体中央部へ横置きで配置するミドシップレイアウトを採用した。量産コンポーネントを合理的に流用することでコストを抑えつつ、理想的な重量配分を獲得した。

直線基調のシャープなウェッジシェイプを採用した車体は、低いフロントノーズを実現するリトラクタブルヘッドライトを備え、Cd値0.32の優れた空力特性を誇った。2シーターに割り切った車内はドライバー中心のタイトな設計とされ、車体前後には実用的な荷室スペースを確保。1986年のマイナーチェンジでは、開放的な走行を楽しめるTバールーフ仕様が追加され、パーソナルクーペとしての魅力も一段と高められた。

動力部には、排気量1,587ccの水冷直列4気筒DOHC「4A-GELU」ユニットを搭載(AW11型)。電子制御燃料噴射と可変吸気システムT-VISを備え、130psのパワーと15.2 kgmの最大トルクを発生させた。エントリー版として1.5L SOHCの「3A-LU」ユニット(83ps、12.0 kgm)も設定。さらに1986年にはスーパーチャージャーを備えた「4A-GZE」ユニット(145ps、19.0 kgm)が追加され、力強い加速性能を発揮した。

足回りには前輪マクファーソンストラット式、後部ストラット式の4輪独立懸架と4輪ディスクブレーキを採用。英ロータス社のエンジニアによる操縦性チューニングの助言も採り入れられ、ミドシップ特有の機敏な回頭性とダイレクトな操舵応答性を実現した。前輪駆動大衆車の基本コンポーネントを巧みに再構築し、本格的なミドシップスポーツを身近な存在としたモデルとして、1989年の世代交代に至るまで堅調な人気を維持した。

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