トヨタ カローラ(1983-1987 日本)

トヨタ

1983年5月に登場した5代目「トヨタ カローラ(E80系)」は、大衆車としての基本設計を刷新した小型乗用車である。最大の変革は、居住空間の飛躍的な拡大を目指して主力の4ドアセダンおよび5ドアハッチバックに前輪駆動を採用した点にある。一方で、スポーツ性を重視するクーペモデルの「カローラ レビン」には後輪駆動を採用。実用車としての機能向上と、スポーツ走行を好む層への配慮を両立させる明確な棲み分けが図られた。

前輪駆動を採用したセダン系は、動力部を前部に集約した横置き配置により室内長を大幅に拡大し、平坦なフロアを実現した。直線基調の端正なウェッジシェイプを採用した外観は空力特性に優れ、広い窓面積によって良好な視界と明るい居住空間を確保。1984年には若年層向けにスポーティな2ボックススタイルの3ドア/5ドアハッチバック「カローラFX」を追加し、前輪駆動モデルのバリエーションを一層拡充した。

動力部には新世代の軽量な水冷直列4気筒SOHC「A型」エンジン群を展開した。主力の1.5L「3A-LU」ユニットは83psのパワーとメーカー公式数値である12.0 kgmの最大トルクを発生させ、日常域での経済性と扱いやすさを両立。エントリー向けの1.3L「2A-LU」や電子制御燃料噴射を備えた1.6L「4A-ELU」、優れた燃費性能を持つ1.8Lディーゼル「1C型」など多彩な仕様を設定し、幅広いユーザー層の用途に応える体制を整えた。

足回りには前輪駆動モデル専用として4輪独立懸架を採用し、前輪にマクファーソンストラット式、後部にストラット式を配してしなやかな乗り心地と素直な操縦安定性を両立させた。後輪駆動を採用したクーペモデルを併売しつつ、ファミリーカーの中核として前輪駆動化を果たした5代目カローラは、世界市場において高い評価を獲得。1987年の世代交代に至るまで堅調な販売を維持し、主力大衆車における駆動方式の転換を成功させた。

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