ランボルギーニ ポルトフィーノ(1987 アメリカ/イタリア)

ランボルギーニ

1987年のフランクフルト・モーターショーで披露された「ランボルギーニ ポルトフィーノ」は、同年にランボルギーニを買収したクライスラーが主導して製作した4ドア4シーターのコンセプトサルーンである。デザイナーのケビン・ヴァーダインが手掛けたスタイリング構想を基礎に、イタリアのカロッツェリア コゴラが実車の架装を担当。クライスラーの象徴であるペンタスターの中央にランボルギーニのファイティングブルを配した専用エンブレムを掲げ、両社の統合を象徴するショーカーとして脚光を浴びた。

車体構造には、ランボルギーニの2シーター車「ジャルパ」のシャシーを延伸した骨格を採用。前後ピラーの間に位置するセンターピラーを廃止し、前後のドアが上方へ向かって跳ね上がる独創的なダブルシザードアを備えた。前後のタイヤを車体の四隅に追いやり、客室空間を前方に大きく拡大した「キャブフォワード」プロポーションを構築。極めて低い車高と広大なキャビンを両立させた前衛的なパッケージングを確立した。

動力部には、ジャルパから継承された排気量3,485ccの90度V型8気筒DOHC16バルブユニットを座席後方にミドシップ配置した。4基のウェバー製キャブレターを装着し、(255ps/7,000rpm、31.9 kgm/3,500rpm)を発揮。幅広い回転域でフラットなトルク特性を維持し、最高速度220km/h超の巡航性能を想定した。変速機には5速マニュアルを結合し、後輪を駆動する設計とした。

量産化には至らなかったものの、本モデルで提示された造形思想はクライスラーの製品戦略に決定的な影響を与えた。1990年代初頭から量産された「LHプラットフォーム」採用車(クライスラー コンコルドやダッジ イントレピッド等)や小型車ネオンへ「キャブフォワード」デザインが直接導入された。伊米両国の設計思想が融合した象徴的なプロトタイプとして、自動車デザイン史にその足跡を残している。

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