1989年9月に登場した「ユーノス ロードスター(NA系)」は、ドライバーと車両の一体感を追求する「人馬一体」を開発コンセプトに掲げた小型オープンスポーツカーである。北米市場では「MX-5 ミアータ」の名称で先行公開され、当時世界的に衰退傾向にあったライトウェイトオープン2シーターの市場に一石を投じた。既存モデルの屋根を切除した派生車ではなく、オープン専用に新設計された車体構造を採用し、操る純粋な楽しさを重視した車両設計が貫かれた。
車体にはリトラクタブルヘッドライトを備えた親しみやすく流麗な意匠を採用し、徹底した軽量化のためアルミ製エンジンフードを導入。初期の標準仕様で車両重量940kgという軽量な車体を成立させた。さらに、変速機とディファレンシャルを強固なトラス構造の結合部材で直結するパワープラントフレームを導入。スロットル操作に対する駆動力伝達の遅れを排除し、剛性の高いダイレクトな加減速フィールを実現した。
動力部には、量産小型車用ユニットをベースに吸排気系を高回転向けに再構築した排気量1,597ccの直列4気筒DOHC「B6-ZE」ユニット(120ps、14.0 kgm)を搭載。操作感に優れたショートストロークの5速マニュアル変速機を介して後輪を駆動した。1993年7月のマイナーチェンジでは排気量を1,839ccに拡大した「BP-ZE」ユニット(130ps、16.0 kgm)へ移行し、車体剛性の強化とともに中速域での扱いやすさを向上させた。
足回りには、前後ともに不等長アームを用いたダブルウィッシュボーン式の4輪独立懸架を採用し、4輪ディスクブレーキを装備。前後重量配分は約50対50に設定され、正確な回頭性と素直な限界挙動を両立させた。手頃な価格と優れたハンドリング性能を備えたユーノス ロードスターは世界的なヒットを記録。消滅しかけていたライトウェイトオープンカー市場を再活性化させ、各国の自動車メーカーに多大な影響を与えた。

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