1972年に登場した「アルフェッタ」は、従来のジュリア系骨格を刷新する新世代の中型セダンとして開発された。既存の2000ベルリーナ等と並行販売されながら、アルファロメオの次世代を担う中核車種に位置づけられた。車名は1950年代初頭のF1を制したグランプリマシン「ティーポ158/159」の愛称「アルフェッタ(小さなアルファ)」に由来する。スタイリングは社内デザインセンターが担当し、直線基調の端正な造形と空力特性に優れるハイデッキなカムテールが採用された。
最大の技術的革新は、往年のF1マシンと同じ設計思想である「トランスアクスル方式」と「ド・ディオンアクスル」を量産セダンに導入した点にある。クラッチ、変速機、デフを後軸直前に一体配置して前後重量配分約50:50を達成。リアにはインボード式ブレーキを組み合わせてバネ下重量を軽減した。フロントには省スペースと低重心化に寄与する縦置きトーションバー式ダブルウィッシュボーンを採用し、実用車でありながら高水準な運動性能を獲得した。
パワーユニットは、伝統のオールアルミ製1.8リッター直列4気筒DOHC(1779cc、出力122ps)から発進し、のちに1.6リッターや2.0リッター版へと展開された。さらに1979年には、伊VMモトーリ社から供給を受けた2.0リッター直列4気筒ターボディーゼル(HR488 HT型、出力82ps)を搭載した「ターボD」を追加。これはイタリアの乗用車として初の過給ディーゼル搭載例となり、時代の要請に応える先進性を示した。
アルフェッタが切り拓いた高度なトランスアクスル設計は、クーペ版のアルフェッタGT/GTVをはじめ、新ジュリエッタやアルファ75へと受け継がれ、長きにわたりアルファロメオ後輪駆動車の屋台骨を支え続けた。黄金期を象徴するネーミングとともにレーシングカー直系のシャシー理論を市販実用車へと具現化した、同社エンジニアリングの金字塔である。

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